ひらがなタイムズ2026年3月号で教える|10記事の授業ガイド

ひらがなタイムズ2026年3月号は、季節の分け目と「野球」の号です。豆で魔を滅する節分、引退する箱根のレトロ電車、「ボンボンドロップシール」「ゆるつら」の新語、甲子園、干支、文字を反転させて運を転じる「左馬」まで、年度末の授業に使える話がそろっています。オンラインで読める10記事について、記事ごとにレベル別の活動・導入の一問・キーワード・つまずきやすい点をまとめました。
バックナンバーも、授業の生きた教材として使えます。記事のリンクから全文(一部は購読者向け)を読めます。
01 Setsubun — The Divide Between Seasons, Driving Out Evil with Beans | 節分 ―― 季節の分け目 豆で魔を滅する
- 記事:Cover Story。鬼に立ち向かう犬田小文吾の表紙と、「鬼は外、福は内」。「魔滅(まめ)」が「豆」に通じるという言い伝え
- 初級:「鬼は外、福は内」を声に出して、豆まきのまねをする
- 中級:「AとBは通じる」(魔滅と豆)で、同じ音のことばの遊びを説明する
- 上級:「魂」という漢字に「鬼」がいること、「鬼は内、福は外」と唱える地域もある話を読み、心の中の「鬼」について話し合う
- 導入の一問:「あなたの国にも、悪いものを追い払う行事はありますか?」
- キーワード:節分/季節を分ける/立春/豆まき/邪気を払う/鬼/福/魂
- 注意点:「節分」はもとは四季それぞれにあったこと。今は立春の前日だけが残ったことを、カレンダーで見せる
02 Hakone’s Iconic Retro Train to Be Retired | 箱根の名物レトロ車両、引退へ
- 記事:News Review。1919年に運行を始めた箱根の登山電車「モハ1形」が、2028年1月で引退する
- 初級:乗り物の名前(電車・バス・新幹線)と「〜に乗ります」
- 中級:「〜により、〜が難しくなり」で、理由と結果をつなぐ文を作る
- 上級:「別れを惜しむ声」を読み、古いものと新しいもののどちらを大切にするかを話し合う
- 導入の一問:「あなたの国で、昔から走っている乗り物はありますか?」
- キーワード:名物/レトロ/車両/運行/老朽化/引退/別れを惜しむ
- 注意点:人に使う「引退」を、電車にも使う面白さ。「親しまれてきた」の受け身にも触れられる
03 “Bonbon doroppu shi-ru” | ボンボンドロップシール
- 記事:New Expressions & Buzzwords。グミやキャンディのような立体感のシール。平成の「シール交換」が再び流行
- 初級:「〜に貼ります」「かわいいです」。持ち物に貼るものを紹介する
- 中級:「〜をきっかけに、〜が再び〜」で、流行がよみがえる流れを説明する
- 上級:「デコる」のように、カタカナ語に「る」をつけた動詞を集めて話す
- 導入の一問:「子どものころ、集めていたものはありますか?」
- キーワード:立体感/透明感/貼る/デコる/流行/入手困難
- 注意点:「デコる」はくだけた言い方。11月号「ギュられる」の造語とつなげられる
04 “Yurutsura” | ゆるつら
- 記事:New Expressions & Buzzwords。「ゆるい」と「つらい」を組み合わせた言葉。楽はしたいけれど、手応えもほしい
- 初級:い形容詞の「ゆるい」「つらい」を、場面と一緒に覚える
- 中級:「〜はしたいけれど、〜もほしい」で、自分の気持ちを一文にする
- 上級:「ほどよい達成感」が求められる理由を、自分の生活の例で話し合う
- 導入の一問:「料理は、かんたんな方がいいですか?少し手間がかかる方がいいですか?」
- キーワード:ゆるい/つらい/組み合わせる/手応え/達成感/ほどよい
- 注意点:い形容詞の語幹(ゆる・つら)をつなぐ造語の作り方として紹介できる
05 Tsubakuro — The Soul Returns to Jingu | つば九郎 ― 神宮に還る魂
- 記事:Close Up Japan。ヤクルトスワローズのマスコット、つば九郎。30年演じ続けた担当者と、「器に魂が宿る」という日本人の感覚
- 初級:背番号「2896」をツバクロウと読む、数字の語呂合わせを楽しむ
- 中級:「いつしか〜になり、〜が〜になっていました」の文で、長く続けたことを表す
- 上級:能楽師や人形遣いなど「器と演者が一体となる文化」を読み、自国のキャラクターや演じ手の文化と比べる
- 導入の一問:「好きなチームやキャラクターはいますか?」
- キーワード:マスコット/着ぐるみ/演じる/器/魂が宿る/急逝/還る
- 注意点:担当者が亡くなった話が出てくる。重い話題として扱い、学習者の様子を見ながら進める
06 Politics and Religion — Faith as a Machine | 政治と宗教――装置にされた信仰
- 記事:Pros & Cons。宗教団体の組織票と政治をめぐる賛成・反対と、聖徳太子・桓武天皇・最澄・空海の歴史
- 初級:(上級クラス向けの記事。初級では扱わず、中級以上で)
- 中級:賛成意見・反対意見の一文ずつを読み、「政教分離」「組織票」「民意」の意味を確かめる
- 上級:奈良から京都への遷都と、最澄・空海に信仰の立て直しが託された歴史の流れを、日本語で順番に説明する
- 導入の一問:「あなたの国では、政治と宗教はどんな関係ですか?」
- キーワード:政教分離/組織票/民意/祭祀/神仏習合/遷都/リセット
- 注意点:政治と宗教の両方にかかわる、意見が強く分かれるテーマ。先生は自分の意見を出さず、記事の両論と歴史を正確に読むことに集中する。学習者の信仰にも配慮する
07 Koshien — Where Baseball Became “Yakyu” | 甲子園 —— ベースボールが「野球」になった場所
- 記事:Japan Style。礼や努力、仲間を思う心が重ねられ、ベースボールが「野球」になった。大谷翔平やイチローも目指した舞台
- 初級:野球のことば(投げる・打つ・走る)と、好きな選手の名前
- 中級:「〜と言えば、〜を意味します」(甲子園に出たと言えば〜)で、ことばの特別な意味を説明する
- 上級:ベースボールと「野球」の違いを読み、外から来たものが日本で独自の文化に育った例を話し合う
- 導入の一問:「あなたの国で、みんなが夢見る舞台はどこですか?」
- キーワード:甲子園/球児/二刀流/本場/礼/仲間/凝縮
- 注意点:「甲子園」は場所の名前であり、大会そのものも指す。ことばの使い分けに触れる
08 Eto – An Eastern Philosophy Unraveling the Blueprint of the Universe | 干支——宇宙の設計図を紐解く東洋の思想
- 記事:Japan Savvy。木・火・土・金・水の五行、十干と十二支。2026年は丙午(ひのえうま)。記事に会話と質問も付いている
- 初級:十二支の動物の名前と、「わたしは〜年生まれです」
- 中級:「きのえ」「きのと」の語尾を組み合わせると「えと」になる話を読み、ことばの成り立ちを説明する
- 上級:「なぜ10と12なのか」という会話の問いから、五行の循環と天と地の考え方について話し合う
- 導入の一問:「あなたは何年生まれですか?その年の動物は何ですか?」(記事の質問から)
- キーワード:干支/五行/循環/陰陽/十干/十二支/丙午
- 注意点:十干(甲・乙・丙・丁…)の読みは学習者には難しい。「きのえ・きのと・ひのえ・ひのと…」の一覧を先に渡す
09 Seasonal Word Leaves: Japan’s March, “Yayoi” | 季節の言の葉:日本の3月「弥生(やよい)」
- 記事:言の葉。草木が生い茂る月「弥生」。卒業式や送別会が続く、区切りと別れの季節のことば
- 初級:3月の行事(卒業式・送別会・ひな祭り)を絵カードで
- 中級:別れのあいさつ(お世話になりました・お元気で)を、場面に合わせて言う
- 上級:「締めくくりの余韻の中に、先へと続く気配が宿っています」を読み、別れと始まりが続く日本の年度の感覚を自国と比べる
- 導入の一問:「あなたの国では、卒業式は何月ですか?」
- キーワード:弥生/生い茂る/年度末/卒業式/送別会/節目/余韻
- 注意点:4月号「卯月」・5月号「皐月」とあわせて、月の古い名前を一年分まとめると覚えやすい
10 Seasonal Voice-Word Art: “Hidari-uma (Left Horse)” | 季節の言技:「左馬(ひだりうま)」— 文字を反転させ、運を転じる
- 記事:言技。「馬」を左右反転させた縁起文字。「うま」が「まう(舞う)」に転じ、馬が人を引き連れてやって来る
- 初級:「馬」の漢字を書き、左右反転させてみる
- 中級:「うま→まう」のように、逆から読むと別のことばになる例を集める
- 上級:左馬の三つの縁起(舞い上がる・千客万来・つまずかない)を説明し、自国の縁起物と比べて話す
- 導入の一問:「あなたの国に、幸運を呼ぶものはありますか?」
- キーワード:左馬/縁起文字/反転/舞う/千客万来/商売繁盛/つまずく
- 注意点:丙午(午年)の干支の記事(08)とつなげると、「馬」の話が一つの流れになる


