ひらがなタイムズ2025年11月号で教える|10記事の授業ガイド

ひらがなタイムズ2025年11月号は、秋の東京と「実り」の号です。わらアート、「しごでき」「〇〇ニキ」の新語、神社仏閣の買収問題、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」、柿、4コマ漫画「手を打て」まで、秋の授業に使える話がそろっています。オンラインで読める10記事について、記事ごとにレベル別の活動・導入の一問・キーワード・つまずきやすい点をまとめました。
バックナンバーも、授業の生きた教材として使えます。記事のリンクから全文(一部は購読者向け)を読めます。
01 Autumn’s Breath in Tokyo — A Map of Chrysanthemums, Towers, and Memory | 東京に咲く秋のいぶき —— 菊と塔と記憶の地図
- 記事:Cover Story。Angryangryが描く秋の東京。東京タワー、菊の名所、天皇家の紋章としての菊
- 初級:表紙を見て「タワー」「花」「赤」「白」。東京の有名な場所の名前を言う
- 中級:「〜として〜に誕生しました」(復興の象徴として1958年に誕生しました)で、建物を紹介する
- 上級:「心の灯台」のような存在を読み、自分の町のシンボルが人に与える気持ちを話し合う
- 導入の一問:「あなたの町で、いちばん有名な建物は何ですか?」
- キーワード:象徴/復興/誕生する/菊花展/紋章/皇居/彩る
- 注意点:「菊」は秋の花であり、天皇家の紋章でもある。花と文化の両方の意味を紹介する
02 Giant Animals Appear After the Harvest: Amazing Wara (Straw) Art in Niigata! | 収穫後に現れる巨大動物。新潟のわらアートがすごい!
- 記事:News Review。稲刈りのあとのわらで作る、恐竜や動物の巨大なアート
- 初級:動物の名前と「大きいです」。わらアートの写真を見て「〜がいます」
- 中級:「〜のあと、〜で〜が作られます」で、作り方の流れを説明する(受け身)
- 上級:「お米を育てる風景の中に生まれる、もうひとつの『実り』」を読み、農業とアートの組み合わせについて話し合う
- 導入の一問:「お米を作ったあとのわらは、何に使われると思いますか?」
- キーワード:収穫/稲刈り/わら/巨大/融合/実り
- 注意点:「わら」と「笑う(わら)」は同じ音。ことば遊びとして紹介してもよい
03 “Capable person” | しごでき
- 記事:New Expressions & Buzzwords。「仕事ができる(人)」の略。飲み会の幹事をうまくこなす人へのほめ言葉にも
- 初級:「仕事ができます」「上手です」で、人をほめる
- 中級:「〜たり、〜たりできる人」で、「しごでき」な人の特徴を説明する
- 上級:自分の国で「仕事ができる人」と言われるのはどんな人かを話し、日本の「気配り」と比べる
- 導入の一問:「あなたのまわりに『仕事ができる人』はいますか?どんな人ですか?」
- キーワード:略す/効率よく/こなす/気を配る/幹事/褒め言葉
- 注意点:くだけた略語。目上の人に直接使うより、仲間うちで使うことばとして紹介する
04 Big bro / Big sis | 〇〇ニキ / 〇〇ネキ
- 記事:New Expressions & Buzzwords。「兄貴」「姉貴」から来たネットスラング。ある分野に詳しい人や頼りになる人
- 初級:家族のことば(兄・姉・お兄さん・お姉さん)を確かめる
- 中級:「〇〇に詳しい人」を「〇〇ニキ」と呼んで、クラスメートを紹介し合う
- 上級:ほめ言葉にも皮肉にもなる言い方の違いを、場面を変えて話し合う
- 導入の一問:「あなたは、何に詳しいですか?」
- キーワード:兄貴/姉貴/詳しい/頼りになる/ひけらかす/皮肉
- 注意点:ネットのくだけた言い方。皮肉の使い方もあるので、相手との関係を考えて使うことを伝える
05 Shrines and Temples Purchase Problem and Japanese People’s Identity | 神社仏閣の買収問題と日本人のアイデンティティ
- 記事:Close Up Japan。宗教法人の税の優遇と、後継者不足で売却に追い込まれる寺院
- 初級:(上級クラス向けの記事。初級では扱わず、中級以上で)
- 中級:「後継者不足」「檀家の減少」「売却」など、ことばの意味を確かめて、問題の流れを説明する
- 上級:「根っこには、売り手となる日本の寺院側にもある」という視点を読み、地域の寺社を守る方法について話し合う
- 導入の一問:「あなたの町に、古いお寺や教会はありますか?だれが守っていますか?」
- キーワード:神社仏閣/買収/宗教法人/非課税/後継者不足/檀家/アイデンティティ
- 注意点:特定の国の人についての記述がある。国籍で人をひとまとめにしない話し方を先に確認し、先生は意見を出さず、記事の論点とことばに集中する
06 “Japanese First”: Whose Priority Does It Serve? | 日本人ファースト:誰のための「優先」か?
- 記事:Pros & Cons。「日本人ファースト」をめぐる「当然だ」「排他主義を助長しかねない」と、風土から国を考える洞察
- 初級:(上級クラス向けの記事。初級では扱わず、中級以上で)
- 中級:賛成意見・反対意見の一文ずつを読み、「〜のは当然だ」「〜かねない」の形を確かめる
- 上級:「民族や文化を形づくってきたのは、むしろ風土である」を読み、自然環境と人の暮らしの関係を自国の例で話す
- 導入の一問:「『〇〇ファースト』ということばを聞いたことがありますか?」
- キーワード:優先/排他主義/差別/助長する/法人/自然人/風土
- 注意点:選挙と政党にかかわる、意見が強く分かれるテーマ。外国人の学習者には身近でつらい話題にもなりうる。先生は意見を出さず、記事の両論を正確に読むことに集中する
07 Seasonal Word Leaves: Japan’s November, “Shimotsuki” | 季節の言の葉:日本の11月「霜月」
- 記事:言の葉。北で霜や初雪、南ではまだ収穫の余韻。縦に長い日本の晩秋
- 初級:「北」「南」「寒い」「暖かい」を日本地図で
- 中級:「〜一方、〜」(北で早く霜が降りる一方、南では〜)で、地域の違いを一文にする
- 上級:太陰暦と現代の暦のずれ、気候変動で広がる季節感の差について話し合う
- 導入の一問:「あなたの国では、北と南で季節が違いますか?」
- キーワード:霜月/初霜/初雪/晩秋/余韻/太陰暦
- 注意点:「霜月(しもつき)」の読み。12月「師走」・1月「睦月」とあわせて、月の古い名前の一覧に加える
08 Seasonal Voice-Word Art: “The fuller the grain, the lower it bows” | 季節の言技:実るほど頭を垂れる稲穂かな
- 記事:言技。実った稲穂が頭を垂れるように、力のある人ほど謙虚になる
- 初級:稲穂の写真で「重いです」「下を向いています」
- 中級:佐藤と鈴木、サラとミシェルの会話を役読みし、どんな人をほめることばかを確かめる
- 上級:謙虚さについて、自国の似たことわざと比べて話し合う
- 導入の一問:「本当に実力のある人は、どんな話し方をすると思いますか?」
- キーワード:実る/頭を垂れる/稲穂/謙虚/成熟/自慢しない
- 注意点:「かな」は古い感動の終わり方。俳句のような響きとして紹介する
09 “Food of the Gods” – Kaki Reflecting the Autumn of Japan | 「神の食べ物」 ― 柿が映す日本の秋
- 記事:Japan Savvy。縄文時代から親しまれてきた柿。学名 Diospyros kaki と「神の食物」。記事に言葉と質問も付いている
- 初級:柿の写真で「甘いです」「オレンジ色です」。秋の果物の名前
- 中級:「〜と言われるほど〜」(医者は青くなると言われるほど栄養満点)の文を作る
- 上級:日本語の「kaki」が学名に入った話から、外国語になった日本語の例を集めて話す
- 導入の一問:「柿を食べたことがありますか?どんな味でしたか?」(記事の質問から)
- キーワード:柿/遺跡/滋養/果実/栄養満点/学名/映す
- 注意点:「柿が赤くなれば医者は青くなる」の色の対比を、絵で見せると伝わりやすい
10 Clap your hands | 手を打て
- 記事:Japan Maze(迷宮ニホン)。「手を打つ(策を立てる)」を、神社で手をたたくことと勘違いする4コマ漫画
- 初級:漫画の会話を役読み。「課長」など役職で呼ぶ日本の習慣を紹介
- 中級:「手を打つ」「お手上げ」など、「手」を使った慣用句を集める
- 上級:ことば通りの意味と慣用句の意味のずれが生む笑いを説明し、自国の似た例を紹介する
- 導入の一問:「困ったとき、神様にお願いすることはありますか?」
- キーワード:手を打つ/策を立てる/解決/慣用句/拝殿/お手上げ
- 注意点:慣用句は文字どおりに訳すと通じない。漫画の勘違いが、そのまま良い説明になる


