ひらがなタイムズで教える|新語・若者ことばの扱い方

「先生、『ギュられる』って何ですか?」。辞書にないことばを学習者に聞かれて、答えにつまった経験はないでしょうか。
ひらがなタイムズ11月号の「新語・流行語」は「ギュられる」。「シンギュラリティ」に、受け身の「られる」を組み合わせた言葉です。新語は、学習者にとって一番「今の日本」を感じられる教材です。そして、ことばの作られ方を教える絶好の機会でもあります。
記事の音声:ひらがなタイムズの朗読音声です。授業の聞き取りやシャドーイングにも使えます。
この記事で教えられること
- 新語:ギュられる(AIに仕事や役割を奪われること)
- 文法:受け身「られる」/「奪う→奪われる」
- 造語の仕組み:外来語の一部+日本語の活用(「ググる」「バズる」なども同じ仲間)
- 語彙:進化/役割/業界/不安/危機感
- 社会:AIについて日本で生まれている不安や危機感
導入の発問
- 「最近覚えた新しい日本語はありますか?」
Have you learned any new Japanese words recently? - 「AIに仕事を取られると思いますか?」
Do you think AI will take people’s jobs? - 「あなたの国のことばにも、AIについての新しいことばはありますか?」
Are there new words about AI in your language?
学習者の母語の新語と並べると、「ことばは今も生まれている」ことが実感として伝わります。
レベル別の使い方
初級
「ギュられる」そのものより、作り方を楽しむ時間にします。「グーグル→ググる」のように、カタカナのことばに「る」をつけて動詞にする例を見せ、「これは何のことば?」とクイズにします。答えが分かったときの「あっ!」が、日本語への興味につながります。
中級
受け身「られる」の復習に使います。「奪う→奪われる」「取る→取られる」を確認したあと、記事の例「この業界はもうギュられる」を読み、「〇〇はギュられる?ギュられない?」と、職業カードを一枚ずつ見せて答えてもらいます。理由を一文で言えたら十分です。
上級
記事の最後の一文「『AIはいつか人間を超えるのではないか』という不安や危機感から生まれた表現です。」を読み、新語がどんな気持ちから生まれるのかを話し合います。そのうえで、学習者に自分で新語を一つ作ってもらい、意味と使い方を日本語で説明してもらう活動ができます。
日本語道の視点
「ギュられる」は、長い外来語の一部だけを取り出し、日本語の受け身をつけたことばです。外から来たことばを、そのまま使わず、日本語の形に合わせて自分のものにする。ひらがなタイムズ11月号のJapan Styleが伝える、インドの軍隊の言葉と仏教の宝の言葉を重ねた将棋の駒と、どこか同じ姿をしています。新語は、ただの流行ではなく、日本語が外のものを受け入れてきたやり方が今も動いている証です。学習者と一緒に新語の作られ方をさかのぼると、ことばの仕組みと文化が同時に見えてきます。
つまずきやすいところ
- 使う場面:新語は、くだけた会話やSNSで使うことばです。仕事のメールや目上の人との会話では使わない、と最初に伝えてください。「知っていると分かる、でも使う場面は選ぶ」が基本です。
- 「られる」の意味:「られる」には受け身のほかに可能や尊敬の意味もあります。「ギュられる」は受け身、と記事の説明をそのまま示すと迷いません。
- 新語の寿命:新語の中には、すぐに使われなくなるものもあります。「今、こういうことばがある」と紹介し、覚えるかどうかは学習者に任せる姿勢で十分です。
授業で使える英語のひとこと
- “This is slang. Know it, but choose when to use it.”(スラングです。知っておいて、使う場面は選んでください)
- “Gyu comes from shingyurariti, ‘singularity.’ Rareru makes it passive.”(「ギュ」はシンギュラリティから。「られる」で受け身になります)
- “New words show how Japanese people feel right now.”(新語は、今の日本人の気持ちを映します)
記事全文はこちら:ギュられる(ひらがなタイムズ)

